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山なみ通信

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未来につなぐ森づくり #箕面の森の守りびと

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11月10日(日)みのお 山とみどりのフェスティバル・生物多様性研究フォーラム「みんなで考えよう!災害に強い森づくり」を箕面船場生涯学習センターで開催しました。

気候変動に伴う災害・洪水被害の激甚化・多発化が危惧されている中で、森林が持つ防災・減災の機能を有効に活用することが、山麓保全の重要な目的の一つとなっています。今回のフォーラムでは、「みんなで考えよう!災害の強い持続可能な森づくり」を念頭に、今、防災・減災に対して、私たちができる箕面の森づくりを考える、のがテーマです。
※主催は、箕面市・NPO法人みのお山麓保全委員会。後援、明治の森箕面自然休養林管理運営協議会。

会場は箕面船場生涯学習センター6階多目的室をお借りしました。昨今の地球温暖化問題への関心の高まりもあって、今回のフォーラムには51名の方々が参加しました。初めに、主催者である箕面市みどりまちづくり部公園緑地室室長の小篠智彰さんから開会の挨拶がありました。

続いて、京都産業大学 生命科学部 産業生命科学科 准教授の西田貴明さんの講演に移りました。講演のタイトルは、「産学官民連携によるグリーンインフラ・NbS(Narure-based solutions:自然に根差した解決策)の展開(←クリック 資料掲載)

 

グリーンインフラとは「自然が持つ多様な機能を賢く利用することで、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラや土地計画のこと」。自然の持っている機能を、防災や経済に有効活用していこうという考え方。

例えば、近年、全国各地で発生する大雨による内水氾濫(市街地に排水能力を超える多量の雨が降り、排水が雨量に追い付かず建物や土地が水に浸かる現象)に対して、従来の雨水をただ貯めるといった考えではなく、自然環境を使って雨水を地面に染み込ませるといった治水の方法なども行われている。そうした実例を交えながら、具体的なグリーンインフラの考え方を説明していただきました。

続いて、ビオトープ管理士会近畿支部長池口直樹さんより、「森林整備によリ、森林が持つ防災・減災機能は向上するか?」(←リック 資料掲載といったタイトルで、災害抑止機能を重視した森づくりのための具体的な森林整備方針や重点エリアの評価方法など、実例報告がありました。

 

2つ目の事業報告として、大阪府北部農と緑の総合事務所 森林課 中尾隆暉さんから、「大阪府森林環境税の活用と箕面山麓部での森林防災事業について~如意谷地区での治山ダム等森林整備事業の報告~」(←クリック 資料掲載)がありました。

豪雨による森林の土石流・流木対策の必要性が説明され、如意谷での工事に際しては、施工地付近に生息する希少植物の保護など自然環境へ十分に配慮しながら工事を進めていると報告されました。

 

 

最後の報告として、みのお山麓保全委員会事務局高島文明さんが「箕面の自然の恵みと災害の脅威 持続可能な森づくりへの現状と課題」~自然災害の歴史、ハード整備と植樹や保全活動、見えてきたさまざまな課題~(←クリック 資料掲載)を報告しました。

 

高島さんは、箕面の豊かな自然環境の一方で、箕面の山の急峻な地形や断層が多く崩れやすい地質の特性などから、これまでにもたびたび大きな自然災害を受けてきた歴史について詳述、とくに2018年9月の台風による広範囲にわたる風倒木被害を多くの画像で説明されました。

2018年の台風では、箕面市の市有地で生活環境林に指定されている「こもれびの森」でも、スギなどの針葉樹を中心に大量の風倒木が発生しました。そこで翌年には、大阪府により風倒木の撤去やシカ害防止柵の設置事業が行われ、事業終了後の2020年から、市民が中心となって、植樹活動を開始しました。

しかし、シカの食害などによる防鹿柵外の作業道の裸地化や作業道の一部の斜面の崩落が発生するなど、災害防止機能が十分に期待できる森林の復活には至っていない現状と課題が報告されました。

三者からの報告が終了し、休憩時間を挟んだのち、会場からの質問シートに答える形で、講師や報告者によるディスカッションを行いました。

参加者からは、「グリーンインフラやNbSという言葉を初めて知りました。自然の力を活用して減災防災に役立てる大切さを改めて認識しました」といった声などが聞こえました。

災害に強い持続可能な森づくりのために、行政、市民の協働の取り組みとして何ができるのか、どのように進めるのがよいのか、今回のフォーラムを契機に今後、議論が深まっていくことが期待されます。

※会場では、箕面の植生や地質や地形について、箕面の災害の歴史、箕面滝道の復旧やこもれびの森の活動等の写真パネルなどが掲示されました。