増えすぎたシカによる被害が深刻になっています。9月17日(木)明治の森箕面自然休養林管理運営協議会の分科会で有害鳥獣の個体数管理の現場を視察しました。
明治の森箕面自然休養林管理運営協議会は、明治の森箕面自然休養林(箕面国有林)などを対象として、市民団体が中心となり行政(国・府・市)と連携しながら、自主的な活動により同自然休養林の整備・管理、及び活用を円滑に行う事を目的として、さまざまな活動を行っています。
同協議会の「シカによる食害」防止計画は、下記の4つの基本的な取り組み方針で進めています。
1、「シカによる食害」対策ネットの設置・・・
増えすぎたシカから植生を守るための緊急避難的な対策として、「植生保護柵」や「樹木保護ネット」の設置を行っています。
2、個体数管理・・・
箕面国有林でも、昨年から個体数管理のための本格的な対策を開始しました。今年は、130頭の捕獲を予定しています。
3、モニタリング調査・・・管理目標として活用
枠取り(コドラート)調査、定点カメラによる調査、森林植生衰退度調査の他、大阪府環境農林水産研究所による糞塊調査も行っています。
※速報値では、北摂エリアでのシカの平均密度は約15頭/km2と推定されており、能勢・箕面・高槻の3地域では生息密度が高く40頭~60頭以上のエリアも見られます。環境省が指針としている【目標密度水準】( 農林業を優先する地域では 1~2 頭/㎢、シカ個体群の保護を優先させる地域では 3~5 頭/㎢)と比較するといかに多いかが分かります。
4、市民への広報や啓発活動・・・
野生鳥獣との共生を図るための個体数管理の必要性を知ってもらうことや、緊急避難的なネット設置や植性調査などへの協力を呼びかけています。
9月17日の午前、あいにくの雨天でしたが、国・大阪府・森林総研・市民団体など15名が参加して、国有林における有害鳥獣の個体数管理事業の視察を行いました。
捕獲用の「くくり罠」の現場です。近くには注意喚起の看板があります。
次に、止々呂美地区から国有林に移動するシカの群れが多い地区を視察しました。
この地区では、従来シカが嫌いで食べないといわれていた「ウリハダカエデ」も食べられていました。シカの頭数が増えすぎると嫌いな植物も食べてしまいます。
センダンの木も食べられていました。
近くの市道のガードレールには、止々呂美地区から国有林に移動するシカのケモノ道が何ヶ所もありました。かなりの頭数の群れが使用しているようです。
このエリアでは、センサーカメラで行動調査を行っています。
たくさんのシカの群れが写っています。
増えすぎたシカは、農林業被害に加えて、森林生態系や生物多様性が劣化するなど、森林そのものも破壊される箇所が発生するなど、非常に深刻な状況となっています。