1月20日(月)西江寺さんで「蟲供養」を行います!「蟲供養」から見えてくる?「生物多様性」
西江寺さんでの「蟲供養」、「ナラ枯れ」被害防止プロジェクトチームの活動の一環として行われます。1月20日(月)10時に阪急箕面駅前にある「サンプラザ1号館」2階のNPO山麓委員会の新しい事務所に集まり、11時に西江寺に行き、「蟲供養」を行います。ご住職にお経をあげていただき焼香をし、その後に、西江寺で行われている伝統行事である「蟲供養」を教えていただく予定です。
ご参加の方は、NPO山麓委員会(携帯:090-1133-3615)まで事前にご連絡をお願いします。
「ナラ枯れ」被害防止の活動の中で、法定害虫とはいえ、多くのカシノナガキクイムシを殺しています。殺してしまった「虫」の供養をします。
あわせて、西江寺さんの「蟲供養」における「蟲」とは、生き物すべてを指し、森羅万象を供養するという意味がこめられていることから、地球の定員をはるかにオーバーした70億の人間が、人間活動の中で多くの生き物を絶滅させてきたことに対する供養、これ以上、出来るだけ生き物を絶滅させないという事も考える機会になればと思っています。
*2010年(平成22年)に名古屋で「生物多様性条約第10回締結国会議」(COP10)が開催され、2011年(平成23年)には「生物多様性地域連携促進法」が施行されました。
「この法律は、地域の自然的・社会的条件に応じた生物多様性の保全のための活動を地域における多様な主体が有機的に連携して行うことを促進し、豊かな生物多様性の保全、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的としています。」
「生物多様性」とは、「生き物のにぎわい」「生き物の個性とつながり」などの意味があります。
日本における生物多様性の4つの危機として、①開発など人間活動による生物多様性の危機(開発や乱獲など)、②自然に対する働きかけの縮小による危機(里地里山問題など)、③人間により持ち込まれたものによる危機(外来生物や化学物資の影響など)、④地球環境の変化による危機(地球温暖化などによる影響など)があげられています。
「人が手を入れて失ってしまった生物多様性」もありますが、里山のように、「人が手を入れなくなったために失われた生物多様性」もあります。メダカやゲンゴロウ、ギフチョウなど、日本の絶滅危惧種の約半数が里地里山で見られるといわれています。
里山管理の活動が行われていますが、「ナラ枯れ」や「シカによる食害」などの問題もおこっており、思うようには進んでいません。
日本人は、昔から暮らしの中に、生物多様性の保全に向けた取り組みをしていたような気がします。
*1月20日は、野外ではなく、お堂の中で行います。法事のような感じで行う簡素な形式での「蟲供養」です。
下の写真は、毎年10月に行われている蟲供養での「蟲塚」の写真です。
10月に西江寺さんで行われる「蟲供養万燈会」では、雅楽や尺八の演奏や茶会なども奉納されます。「蟲供養縁起」の全文をご紹介させていただきます。
「今より千三百年以上もの昔、行基菩薩が都大路や山野を行脚された折、壷を腰にさげて道行くごとに虫のなきがらを拾い集め供養されたが始めと伝えられる。
また、栂尾の明恵上人もこれに習い、虫塚を建てられ、年々その供養をされた。
明治に入っては歌僧、藤村叡運僧正が、なにわの文人、墨客、風流人たちに呼びかけ、この虫供養を復興され、堺の源光寺、寺町の万福寺を経て、昭和十四年より関西の虫どころ箕面西江寺へ移った。
以来、七十年、年々歳々この行事は盛大になり、大阪はもとより関西一円の茶華道、画家、歌人、俳人、僧、墨客たち、風流人のなくてはならぬ床しい催しものとなった。
歌をよまれ、絵に書かれ、耳の快い虫の音も、ひと時のはかない草の露ときえ、誰からも供養されぬを悲しみ、紅葉の名どころでもある虫の箕面に人々が志をあつめて蟲塚をまつり、とわに秋に耳を傾け、絶えぬ文化とその音に一座を開き、いくとせも蟲の愛護者とならんことを願っている。
ちなみに、西江寺境内にしつらえる蟲塚は、元法隆寺管長、まほろばの僧と呼ばれし佐伯定胤師の筆による。
「蟲」は虫にとどまらず森羅万象ことごとく「蟲」にして、人もまた、はだか虫と言われ、虫の好く者も好かぬ者も、たとえ虫の居所が悪くとも腹の虫をおさえて、まずは一服お茶でも召し上がりながら今日一日は仙境に遊び、風流人となられんことを。」
西江寺さんで行われている「蟲供養」から見えてくる「生物多様性」もあるかも?