みのお山とみどりのフェスティバル/生物多様性研究フォーラム「大阪府生物多様性地域戦略と持続可能な箕面の観光戦略」を10月23日に開催しました。当日資料の概要を公開しましたので、ぜひご覧ください!
山なみにいだかれた緑豊かなまち箕面を次の世代に引き継いでいく「みのお山とみどりのフェスティバル」の一環として、毎年、生物多様性研究フォーラムを開催しています。
大阪府は「環境総合計画」で、2030年の実現すべき姿である「いのち輝くSDGs未来都市・大阪」を目指し、その実現に向けた環境施策の1つとして「全てのいのちの共生」を掲げており、その具体的な施策を個別計画で推進するため、2022年3月に「生物多様性地域戦略」を策定しました。また、箕面市では、「公民連携の箕面観光戦略」を策定する取り組みが始まっています。
今回の生物多様性研究フォーラムの目的は、①箕面の生物多様性の理解を深めて、生物多様性の保全に役立つ市民や事業者の行動を促進する、②生物多様性を守り・育て・活かすことが持続可能な観光戦略につながることの理解を深めて、適切なアクションプランによる持続可能な観光戦略に役立てることです。
本フォーラムでは、違った立場の3人の講師の方に生物多様性の保全と持続可能な観光戦略についてのご発表をお願いして、最後に適切なアクションプランのために何が出来るのか、私たちが出来ることを一緒に考えました。
国や大阪府、箕面市などの行政の方、保全活動を行っている市民団体の方、観光関連の方など、いろいろな違った立場の方が集まり、58人の方にご参加いただきました。
当日、ご参加出来なかった方や再度ご確認されたい方に、下のPDF当日資料の概要をご覧いただけると幸いです。
日時:2022年10月23日(日)13:30~15:50
主催:箕面市・NPO法人みのお山麓保全委員会
共催:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所 生物多様性センター
後援:明治の森箕面自然休養林管理運営協議会
≪内容≫
【講演】
●生物多様性と私たちの暮らし
(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所 生物多様性センター長 平松 和也 氏
生物多様性とは、箕面の生物多様性、箕面の生物多様性の恵み、ホットスポット箕面公園、生物多様性と箕面の観光の相性、生物多様性を脅かすもの(大規模開発・農業者の減少・国の施策OECMの導入・外来生物・気候変動など)、温室ガス排出量削減などのお話をしていただきました。
生物多様性センター平松氏(←PDF当日資料の概要)
●大阪府生物多様性地域戦略について~全てのいのちの共生を目指して~
大阪府環境農林水産部 みどり推進室 みどり企画課 内本 大樹 氏
大阪の自然環境、生物多様性の4つの危機、大阪府における生物多様性の課題、大阪府生物多様性地域戦略の目標と施策方針、取り組み方針などのお話をしていただきました。
大阪府生物多様性地域戦略 内本氏(←PDF当日資料の概要)
●SDGsへの貢献と持続可能な観光戦略
~生物多様性を守り・育て・活かす箕面の観光とは~
大阪観光局 マーケティング事業部 観光コンテンツ開発担当課長 梶浦 愛子 氏
大阪観光局の沿革、連携による観光地域づくり、めざす都市像と取組みの方向性、持続可能な観光戦略とは、貴重な自然資本・箕面国定公園、生物多様性の保全と持続可能な利用モデル、地域の宝として身近な自然を守り育てる生活、WITHコロナ時代における「グリーンリカバリー」による地方創生・社会経済モデルの転換、参加する民間企業/団体との連携などのお話をしていただきました。
大阪観光局梶浦氏 生物多様性地域戦略と持続可能な箕面の観光戦略(←PDF当日資料の概要)
※各資料の著作権はすべて講演者にあり、各資料すべての無断転載を禁じます。
※引用する場合は、必ず出典を明記するとともに、各資料の内容の全部又は一部について講演者に無断で改変を行わないでください。
ディスカッション:
●生物多様性保全と持続可能な箕面の観光コンテンツづくりを考える
ここまで講演をしていただいた3人がパネラーとなり、NPO法人みのお山麓保全委員会事務局長(高島)が参加して、ディスカッションを行いました。
今回の研究フォーラムの目的は①生物多様性の理解を深める②箕面の観光のために市民ができることを考えることです。ディスカッションの概要について報告します。
1,生物多様性について
●2022年の府民アンケートでは、生物多様性という言葉を、ある程度説明できるのは5%(大阪府内本氏のPDF)となっており、生物多様性が主流になっていないことについての質問があり議論しました。
主流化のためには、日本版OECM(平松センター長のPDF)にあるように、企業緑地(保護地域以外)など、企業や事業者にも輪を広げることが必要であることから、大阪府では、企業の取り組みを支援するパートナー協定や寄附制度など(大阪府内本氏のPDF)が始まっているとの報告をあり、違う立場の方々にも参画していただくが必須であることを確認しました。
●クビアカツヤカミキリなど、特定外来種に関しての質問があり、外来種の駆除のためには、早期発見・早期駆除が必須であり、行政や専門家に加えて、地域の市民の協力が必須であること、アプリなどを活用した情報収集が必要であることなどの意見が確認されました。
※生物多様性を脅かすシカの問題については、限られた時間でディスカッションを行うには無理があるため、次回の生物多様性フォーラムで議論することにしました。
2,箕面の観光のために市民ができることを考える
●会場からは、トイレの整備、エキスポの森の活用など、施設整備の要望が多くありました。
●箕面だけの観光戦略ではなく、もっと広域に考えるべきとの意見があり、大阪観光局としても北摂全体で考えたいとの意見があった他、エコツーリズム以外の健康と自然を結びつけるウェルネス(ウォーキング・ランニングなど)ツーリズムのアイデアに対しては、若い人に自然に親しんでいただくとともに保全にも協力してもらうなど、適切な関係構築が必要との意見で一致しました。
●箕面の自然関係の施設や箕面川ダムなどの見どころを二次交通(ゆずるバスなど)でつなぎ、来訪される機会を増やすとともに、あわせて自然環境の保全の啓発につなげるという意見も紹介されました。
会場からは、質問シート16枚、観光コンテンツのアイデアシート13枚と、たくさんのご意見やアイデアをいただきました。
30分という限られた時間で、ご紹介できなかったアイデアもたくさんありましたので、一部を下記に紹介させていただきます。
●箕面駅周辺や滝道に、ビジターセンター(豊かな自然を紹介するエリア)や道の駅(特産物販売や野菜市など)、有名な菓子やパンなど、インスタで人気のショップを集めた施設をつくる。
●海外からの観光客に向けての自然観察会を開催するためのネイチャーガイドを養成する。(英語表記の資料を作成)※箕面は外国人留学生が多いという資源があります。
●「ゆるキャラ」は日本的なので、生物多様性を象徴するような生き物と植物の「ゆるキャラ」を作り、グッズの売上を生物多様性保全のために使う。(LINEスタンプは絶対必要)
・・・などなど
全てを紹介できませんが、貴重なご意見やアイデアを読み込み、この後の活動に活かしていきたいと考えています。
生物多様性の保全と持続可能な観光戦略のマッチングという目標に対して、行政や企業、市民など違う立場の人が、その立場を活かして、情報共有や意見交換を通して、適切な活動を行う。「違うって素晴らしい」という考え方で、市民が出来ることを進めて行きたいと考えています。
(NPO法人みのお山麓保全委員会事務局長 高島文明)
カテゴリ:事務局だより,イベント情報,生き物の多様性保全,明治の森箕面自然休養林管理協議会,山とみどりのフェスティバル
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投稿者:sanroku
投稿日:2022年10月28日 19時間38分42秒