今年も、ナラ枯れ防止グループは箕面山聖天宮西江寺さんで「蟲供養」をしていただきました。ナラ枯れ被害防止の活動に、多くの市民の皆さまのご支援をお願いします。
1月23日(月)午前、今年で4回目(4年目)になりますが、西江寺さんのご住職(小倉叡裕さん)に「蟲供養」のお経をあげていただき、参加した同グループ6人のボランティアスタッフが順に焼香をさせていただきました。
一緒にお経を唱和させていただき、供養が少しでもできたかと思います。新年の初めにあたり、すがすがしい気持ちで、少しでも森の保全に役立つ活動をしたい、そんな気持ちにさせていただいた一日でした。
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ナラ枯れとは、ドングリのなる木が、カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)という小さな昆虫が持ち込んだ菌により、枯れてしまう病気のことをいいます。
カシナガは、ナラやカシなどの木に穴をあけてナラ菌を持ち込み、酵母を栽培してエサにして、次の世代を育てます。たくさんのカシナガが穿入した木は、葉に送る樹液のパイプを詰まらせて枯れてしまう樹木萎凋病(樹液が断たれるので葉がちじんで枯れる)です。
ナラ枯れ防止グループの主な活動
≪被害木や枯死木の調査≫
☆ハイキング道周辺のカシナガの被害木、枯死木の調査を行っています。枯死した木は、放置しておくと翌年にカシナガが大量に発生して被害が拡大するので、箕面市が森林組合に発注して冬の間に伐倒くん蒸処理をします。どこにどの位の被害木や枯死木があるのかは、市の職員では分からないので、日ごろ山に行くことの多い同グループのスタッフが調べて箕面市に連絡しています。
今後は、GPSで位置を特定し、地図に落とし込みパソコンで送信できるようにする予定です。この方法では発注から現場指図まで一貫して出来るので、現在、技術をブラッシュアップ中です。
≪カシナガの発生頭数を減らす同グループの活動≫
被害の拡大防止の為に、枯死した木から出てくるカシナガの成虫を粘着シートで捕獲し、発生頭数を減らす方法を取り組んでいます。1本の木から2,000~3,000頭捕獲できるようになりました。
≪守りたい木や守りたい地域を守る活動≫
ハイキング道の大徑木は、枯死すると危険木となるために、出来る限り枯死しないように守りたいと考えています。また、守りたい地域の健全木には、全て防虫ネットを巻くなどの活動を行いたいと考えています。
2016年度から「樹幹注入」(殺菌剤を入れて枯死を防ぐ)や、「防虫ネット巻き」(外からのカシナガ侵入を防ぐ)など、予防保全の取り組みを始めました。樹幹注入は約60%の生存率(40%は枯死)、防虫ネットは97%の生存率でした。防虫ネット巻きは粘着シートと同じ方法で施工ができ、比較的楽な作業であり、費用面でも比較的安価な方法であると評価しています。
≪ネットを巻いた木の観察>
ただし、被害を受けていないと思って、外からのカシナガの侵入防止のために巻いた木が、シーズンが終わって観察してみると、カシナガの穿孔をあり、フラス(虫がかじった切りくず)が出ている事例もありました。この場合、中に入っていたカシナガは外へ出られないので、また、木に戻り木を枯らしてしまうのではないかという心配もあり、今後も観察を継続する予定です。
枯れてしまった木からはカシナガが大量に発生するので、それを防止する方法(伐倒くん蒸処理や粘着シートで捕獲)がありますが、それ以外にも健全な木を守る予防保全の活動(樹幹注入や防虫ネットの巻き付け)があります。いずれも、作業の簡便性や難易度、かかる費用の多寡、活動予算の確保など、様々な課題があります。
同グループは、行政と連携しながら、きめ細かい調査を行いながら、市民ボランティアが出来る活動を着実に行っています。
ナラ枯れ被害の防止のための募金活動は、下記をご覧ください。
多くの皆さまのご支援をお願いいたします。
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箕面山聖天宮西江寺(箕面市箕面2丁目5番27号)
西江寺さんは、阪急箕面駅から東北に5分ほど山へ登った所にあります。
この時期、赤い実をつけた植物や早春の花を見ることができます。
マンリョウ
センリョウ
アリドオシ、いずれもこの時期に見られる赤い実をつけた植物です。
早春の黄色い花、ロウバイも開花しています。
また、西江寺さんの境内には、「蟲塚」があり、毎年10月第一土日に「蟲供養万燈会」が行われています。「蟲供養」における「蟲」とは、いわゆる「虫」だけでなく「生き物すべて」を指しています。
「蟲供養」については、下記の記事もご参照ください。