6月21日清水谷橋の下でタヌキの子どもを発見
箕面の森で多く見られる哺乳類は、ニホンザル、ニホンジカ、イノシシ、ニホンリス、ニホンノウサギなどに加えてテン、キツネの他、タヌキも見ることができます。タヌキは都市近郊から山地まで広く生息しています。箕面の森では、シカによる食害が問題になっていますが、特定外来生物としてはアライグマの生息も確認されており、森林の生態系に与える影響が問題となっています。
ちょうど今の時期は、多くの哺乳類が子育てを行っています。
下の写真は、一時、ツキノワグマではないかと思われましたがタヌキの子どもです。クマみたいですが、しっぽが長いですね。
*写真:2014.6.21西岡稔
☆ニホンザル
箕面のサルは、瀧安寺所蔵の江戸時代の絵巻物に描かれており、古くから生息しており、大都市近郊にも関わらず、野生のニホンザルが観察できることが評価され、箕面山のサルの生息地は昭和31年に天然記念物に指定されました。(地域指定)
その後、餌付けの影響で人に慣れすぎ、人に飛びかかったり、みやげ物屋に侵入するなどの被害が多くなったために、現在では箕面市によって「サルを自然に帰す運動」が行われています。
☆ニホンジカ
大阪府内では、北摂山系中心にニホンジカが生息しており、主にイネ科の草本などを採食しますが、近年、個体数が増加し、農作物被害などが拡大している他、今まで採食しなかった植物も採食するなど、箕面の森の生態系に与える影響が大きく、大阪府は計画に基づいて保護管理を行っています。ニホンジカから植生を守る試みは清水谷などで行われていますが、モニタリング調査などとあわせて、今年から箕面国有林においても頭数管理を行う予定です。
防鹿ネットの設置による植生の保護や、定点カメラによる調査などが行われています。
☆イノシシ
雑食性で、植物の根や果実、昆虫などいろいろなもの食べます。シカと同様に、近年、個体数の増加により、人との軋轢が生じているために、シカと同様に計画に基づいて保護管理が行われています。
☆アライグマ
北米原産の動物で、日本には生息していませんでしたが、1977年にテレビアニメが放送されたことをキッカケにペットとしての人気が高まり、飼いきれなくなった個体が野外に放たれ、野生化するケースが全国で相次ぎ、幅広い食性と繁殖力が旺盛なことから、急激に個体数を増やしています。
野生化したアライグマは、農作物の食害や家屋侵入による生活環境汚染を引き起こす他、貴重な明治の森箕面国定公園内の生態系への悪影響が懸念されています。
日本には天敵となる生物がいないために短期間で大量に増加し、在来種(カエルや野鳥の卵やヒナなど)を捕食して減少させたり、在来種(タヌキやキツネ、アナグマなど)と競合した結果、生息場所を奪ってしまう行動が危惧されています。
箕面市での捕獲状況は、イノシシの頭数は落ち着いてきましたが、アライグマが減っていません。ニホンジカの頭数が、近年増加傾向にあります。
☆定点カメラに写ったキツネ
都市近郊から山地まで様々な環境に生息します。
☆定点カメラに写ったテン
主に山林にすみ、木登りがうまく、樹上をよく利用します。
☆定点カメラに写ったニホンノウサギ
大阪では、夏毛も冬毛も茶色です。
その他、しっぽが長い方が、ハクビシン、短いのはアナグマです。
いろいろな生きものが生息できる森林が、都市近郊に存在するということは、その麓に住む私たちにとっても住みやすい環境だといえるでしょう。多くの生きものが生息できる森の環境が続いて欲しいですね。