箕面のタンポポは、今、どう変わってきているのか/箕面のタンポポ調査の報告
2010年、2015年の西日本タンポポ調査に参加してきた「生きもの会議」は、市民によって集められた貴重なデータから、箕面のタンポポの変化を分析しお知らせすることにしました。
※以下は、生き物会議の石田達郎さんによりまとめられたものです。
※生き物会議は、箕面の山間・山麓・街中の生物多様性を保全することを目的として、独立した団体として自立することをめざしています。
☆「タンポポ調査」とは
今から40年くらい前、大阪自然環境保全協会が中心となって始められた市民調査で、身近なタンポポの種類を調べることによって、自然環境の変化をチェックできるというものです。
☆タンポポの種類とは
大阪に昔から生息していたのは「カンサイタンポポ」です。
そこに、明治以降、欧米から「セイヨウタンポポ」が入ってきました。それが、50年くらい前から急速に増えだしたのです。
カンサイタンポポ
セイヨウタンポポ
☆タンポポと自然環境
「セイヨウタンポポ」は受粉しなくても種子を作ることができます。したがって、群生できるような条件がなくても(例えばコンクリートの隙間などにも)生息することができます。自然環境が都市化していくと、昔ながらの自然環境が残っているところには「カンサイタンポポ」が生息し、都市化したところには「セイヨウタンポポ」が生息することになります。
☆タンポポは環境指標植物
以上のように、タンポポの種類を調べると自然環境の都市化の度合いをチェックすることができます。つまりタンポポは環境指標植物なのです。
☆広がる「タンポポ調査」
5年ごとに行なわれてきた「タンポポ調査」は、その範囲を、大阪→近畿→西日本 と広げてきています。そして、調査内容も「セイヨウタンポポ」と「アカミタンポポ」とを見分けられるものに、さらに「雑種」を見分けられるものになってきています。
☆箕面での「外来種」比率の変化は
今まで行なわれたタンポポ調査の、箕面での変化をみると、次のグラフのようになっています。「外来種率」とは、全体のタンポポの中の、セイヨウタンポポやアカミタンポポの、「雑種」も含めた割合のことです。(カンサイタンポポとシロバナタンポポは「在来種」と考えます。)
2010年から2015年にかけては、ほとんど変わっていません。これは、カンサイタンポポなどの在来種が、がんばって生息を続けていることを表していると思います。
☆箕面でも「雑種」が増えている?
ここ10年くらいの話題は「雑種」に関するものが多いです。
大阪全体でも、セイヨウタンポポの「雑種率」は2015年で、67.6%にも達しています。「雑種」は、下図の「2~4番」の状態のものがそれらしいのですが、正確なことは「DNA解析」を行なわなければ、断定できません。
☆「在来種型雑種」に注目
さらに、最近では、上図の「1番」の状態のものでも、花粉を調べると大きさがバラバラで、雑種であることがわかっているものが増えています。「在来種型雑種」と呼ばれたり「おばけタンポポ」とか「ロクアイタンポポ」(神戸の六甲アイランドで発見)とか呼ばれたりしています。
箕面では、2010年に6サンプルだったものが、2015年には11サンプルに増えています。
2016年 スカイアリーナ付近で確認した「在来種型雑種」
これからも、移り行く環境の中、けなげに咲いている箕面のタンポポを観察し応援しましょう!
※カンサイタンポポの写真・セイヨウタンポポの写真・総苞外片5段階の図はタンポポ調査・西日本実行委員会・調査報告書より引用させていただきました。