里山の環境変化と鑑賞のための採取などにより減少した箕面市の花「ササユリ」
昭和44年に、箕面市のシンボルとなる木と花として、市の木には「イロハモミジ」、市の花には「ササユリ」が市民の投票により制定されました。
このササユリ、昔は、箕面の山では普通に見られたそうですが、今は、ほとんど姿を消しています。
昭和40年代くらいまで、薪炭林や下草の利用などで人の手が加わり、多様な生態系が保たれていた里山では、ササユリは普通に見られた植物でした。
落ち葉による堆肥が化学肥料に変わり、薪や炭によるエネルギーが石油やガスに変わるなど、経済的な価値やライフスタイルの変化により、里山に人の手が入らなくなりました。
生物多様性が損なわれる原因としては、このような自然に対する働きかけの縮小がありますが、一方で人間活動が自然に与える影響は多大です。
箕面では、山なみ景観保全地区の指定や山間・山麓部の保全活動、みどりまちづくりの政策により、開発による自然環境の悪化には、一定の歯止めがされていますが、鑑賞や園芸目的のための採取は絶えず、その影響は多大です。
里山の環境変化により個体数が減っているササユリに、人による球根の盗掘や地上部の採取などの負荷がかかっており、啓発や監視活動の強化も必要です。
箕面市の花であるササユリ、里山の豊かな生態系のシンボルであるササユリを次の世代に残していくために、調査や採取防止や啓発、保護・管理のための市民や行政などによる取り組みが必要になっているといえるでしょう。
下の写真は、6月8日に撮影したものです。
下の写真は、6月10日に撮影したものです。