「シカの食害」対策の勉強会
明治の森箕面自然休養林管理運営協議会とNPO山麓委員会は、6月20日(木)午後1時半から、みのお市民活動センターで、第1回「シカの食害対策の取り組みの勉強会」を行いました。国や府の職員や市民団体など28名の参加で、情報の共有化や意見交換などが活発に行われました。
毎月、清水谷での植生調査や定点カメラの設置による哺乳類の生息調査を行う他、第2回の勉強会や研究フォーラムを行う事としました。
・第2回の勉強会:9月19日(木)午前10時~12時:箕面市役所別館6F会議室
・研究フォーラム:10月27日(日)みのお市民活動センターにて(時間は未定)
箕面の山間・山麓部で「シカの食害」により貴重な植生が損なわれるなどの被害の他、農林業にも多くの被害が見られ、林床が裸地化すると大量に雨が降った時に土砂が流失にする恐れもあることから、シカの頭数増加は大きな課題となっていると考えています。
行政と市民が「協働」で、「シカの食害」対策のための実行計画創りに取り組んで行きたいと思っていますので、勉強会や研究フォーラムにご参加くださるようにお願いします。
<6月20日の勉強会の概要>
第1部:箕面における「シカの食害」の現状と対策について
これまでの被害状況は、2008年に行われた調査報告から「箕面山ニホンザルの生息地におけるシカ食害」の被害状況と、2009年に清水谷で行った調査から植生の変化及び種別ごとの食害状況について説明がされました。
対策については、2012年に設置した防護ネットの設置効果と現在の状況の報告がされました。防鹿ネットの内では、貴重種である「モメンヅル」(大阪府のレッドデータブック掲載)が復活し広範囲に繁茂しており、ネット内外では植生が大きく違っています。
また、今年5月に設置した定点カメラによるモニタリング調査について説明がされ、定点カメラは1回目のデータの回収が行われ、撮影されたシカ等の状況について報告がありました。5月16日~6月16日の期間で、シカ(♀)33頭、サル14頭、イノシシ1頭が撮影されました。
捕獲状況について、大阪府のシカ保護管理計画、箕面市の捕獲状況の説明があった他、防護ネットよりも安価にできる試みとして、山麓部で市民団体が行っている鳥害防止用のテープを用いた方法も紹介されました。
会場からは、定点カメラの費用とメンテナンスなどの質問がありました。
本格的な運用に向けてのテスト段階にある事と毎月1回の見回りボランティア(SDカードや電池交換など)を募集していることなどの説明がありました。
第2部:「シカの食害」対策をどのように進めて行くか
大きなテーマとして「生物多様性の保全と野生鳥獣との共生」「定点カメラなどによるシカの生息状況及び行動調査」「個体数管理について」「広報及び啓発活動」の説明がされた後に、箕面森林ふれあい推進センターより近畿中国森林局管内でのシカ対策の事例も発表されました。
会場からは、「箕面のシカの頭数は現在どれくらいなのか」「適正頭数はどれくらいなのか」「箕面で実際に他区の対策を考えた場合にどういう手段をとるのか」などの質問がありました。
シカの頭数把握は、糞粒法などがあるが正確な把握は難しいが、植生の被害の状況から見ても、シカの頭数が増えている傾向にある事は推測できるなどの回答がありました。
第1回の勉強会で出された課題などに対して、次回の勉強会では、より具体的な対策についての検討をしていきたいと考えています。
(追記)
下の写真は、箕面公園昆虫館前のバタフライガーデンのネムの木の写真です。つい最近、ネムの木の樹皮が、シカの食害によりはがされて食べられてしまいました。白くなっており枯れるかもしれません。昆虫館のあたりまで、夜中にシカが出てきている状況です