「ナラ枯れ」被害による急峻な地形での森林機能喪失の危険性
7月17日に、毎日新聞社(社会部おおさか支局)記者の取材のために、ナラ枯れ被害防止PT(座長:竹田さん)のボランティアスタッフ3名と同行し、府営箕面公園(一の橋から桜広場の地点)の「ナラ枯れ」被害状況の確認に行きました。
現地の被害木は、シイの木、幹周り175㎝、胸高直径56㎝の大木で、ハイキング道の側にあります。被害木からは、すぐ下に滝道を見下ろす場所にあります。
地際から相当高いところまで、カシナガの穿入孔が多数見られ、フラス(木クズ)もたくさん出ており、現在、ナラ枯れ被害対策PTでは、粘着シートを内向きと外向きに貼付して被害拡大防止のための応急処置を行っています。
このシイの木は、急斜面に根を張っており、周辺の土壌を支えていますが、枯死すると滝道に倒れてしまう恐れがあり危険です。
シイの木は、コナラなどと違って枯死する割合は低いと考えられますが、枯死した場合は、危険木として伐倒しなければならないでしょう。枯れなかった場合は幸いですが、出来る限り高い位置まで粘着シートの粘着面を内向きに巻いて、周辺のシイ林に被害が拡大することを極力防止する必要があります。
箕面渓谷は、急峻な斜面が多く、多くの大木が根を張って、山崩れなどの土砂災害を防いでいます。近年増加している「シカの食害」により下層植生の衰退が進行すれば水源涵養能力が低下し、「ナラ枯れ」とセットになり、土砂の流失や土砂災害の危険性が増すことでしょう。
また、粘着シートの粘着面を外側に貼る方法は、カシノナガキクイムシ以外の生き物が付着することがあり、ナラ枯れ被害対策PTでは、粘着面にネット(1.7㎝角の防鹿ネット)を貼り付けて、鳥などが付着しないように改善の為の検証も行っています。
箕面では、過去3年間の地道な活動により、「ナラ枯れ」被害の拡大については一定の抑止が出来ていますが、長い活動の継続が必要です。早期発見のためには、より多くの「市民の目」が必要です。
どんぐりのなる木(コナラ・クヌギ・アベマキ・アラカシなど)が枯れていたり、根元に多くのフラス(木クズ)が出ていたり、ツマヨウジが入る位の穴がたくさん空いていたら、NPO山麓委員会事務局(090-1133-3615)まで連絡をお願いします。